あわのわコミュニティーカフェ&マーケット Vol.8

awanowa2010-05-12


早朝、カミナリも鳴るほどの激しい雨音に目を覚まし、今日は雨バージョンでいくかと覚悟を決めた。
あわのわは、雨天決行なので雨の日は、ステージと飲食会場を藤本敏夫記念館に、マーケット会場を赤い家に移し、縮小して行うことになっているのだ。
ところが、朝8時頃会場に来て準備を始めていると、雨は上がり雲のすき間からまぶしい太陽が顔を出した。
「晴れたね!」安房の仲間達がうれしそうに続々と集まって来た。
すがすがしい森の精気が充満する小春日和の3月21日日曜日の春分の日、Dawn peopleの透明感のある気持ちの良いヴァイオリンとギターであわのわVol.8はスタートした。
出店者のみんなでつくるこのコミュニティーカフェ&マーケットは、物を売り買いするだけではなく、人と人が出会い交流し、つながる場でもある。みんなの日々の活動や思い、こんなコトがしたい、あんなコトがあったらいいなをステージで話し、会場で語り合う場。新聞やテレビやインターネットでさえも手に入らない、この地域のリアルな情報が送受信できる「あわのわ」は、僕らのマルチメディアスーペースだ。
そして、この出会いからバチッバチッと化学反応が起こり新しいイメージが次々と創造されてく。
地域通貨安房マネー」というネットワークが畑となり、そこに僕らは種となって、自然農的に好きなトコロに着地する。そして宇宙の絶妙なタイミングによって、やがて自然と芽を出すと、同じヴァイブレーションの仲間達も近くでいっせいに芽を出している。その仲間達とこれまた自然とつながって、自分達の望む花を咲かせ実を結ぶのだ。そう、ここでは力まずに自然と物事が進んでいく。
それが、鴨川マジック。
それが虹の村の奇跡。
それが、安房の国の不思議。

 去年の春のあわのわに、東京から遊びに来ていたクリスとエリは今回のステージで素晴らしい演奏とダンスを披露してくれた。
ステージで踊るエリの天女の様な舞いと、クリスのネイティブフルートの調べは、まさに今の鴨川を象徴していた。彼らは、去年あわのわに来た時、この鴨川に移り住んで、あわのわのステージに立ちたいと思ったそうだ。そして一年もしないうちに実現してしまった。
「夢がかなったわ!」とエリはうれしそうに僕に言っていた。
エリのベリーダンスは、まるで春風のように自由でやわらかい空気をつくっていた。クリスのネイティブフルートも、ユーラシア的でありながらも、どこの国のものでもない音色で、Yaeちゃんのボーカルと合わさると、すごく日本的であるんだけどコスモポリタンというか、全地球的な表現になっていた。
それが鴨川の持っているムードなんだと思う。
すごくアジア的で、これぞ日本の農村の原風景でありながら東洋と西洋の文化がMIXされ、新しい地球文明の息吹が感じられる。
クリスとエリも、感性はアメリカ人でも日本人でもなく地球人だ。地球意識を持って生きる人の心に、国境はない。
だから、いきなり村の人とも仲良くなって、廃校になった小学校を考える会の役員にもなり、地域コミュニティの活動にも積極的に関わっている。

地球意識を持って生きる地球人。
そんな人達が増え、そんな彼らが新しい世界をつくっていく。
あわのわはそんな地球人が、たくさん集まる場でもある。


画家であり絵本作家でもある宮下昌也さんは、里山を舞台に、アートを通じて人と自然をつなげるスペース「アートガーデン・コヅカ森の家」を運営し、今年の夏はそこでアートフェスを開催する話を、あわのわトークでしてもらった。
真魚さんのアニミズム・オフライン「森の文明」では、古代からこの星と共に生きて来た先住民の精神文化の視点から、この現代文明を、この房総の森と暮らしを、言葉と映像と音で会場のお客さんと共に見つめ直した。
そして、始まったばかりの「里山生活お助け隊」のメンバーにステージに来てもらい、これからの活動のイメージを代表の今西さんに話していただいた。
このプロジェクトは超高齢化の里山集落の問題解決ビジネスに育ってゆく可能性がある。草刈り、家畜の世話、買い物代行、送迎、田畑の手伝い、樹木の伐採、食事のお世話等々…。環境と福祉の地域住民のニーズに、行政がケアできない部分を、若者達のフットワークで対応していければ、コミュニティの再生にもつながる。有償、ボランティア、地域通貨を、時と場合によって柔軟に使い分け、「お助け隊」の現金収入にもなり、地域にも喜ばれるというNPO的なソーシャルビジネス(社会企業)に発展すれば、雇用も生まれ、地域との信頼関係もより深まるだろう。


続いて今、鴨川で一番ホットな「地域自給組合あわのわ」のメンバーにステージに来てもらい、現在行われているプロジェクトを説明していただいた。
これも代表が今西さんである!この人は風の様にプロジェクトを立ち上げては、とどまるコトを知らずニコニコとしながら進んでいくのだ。今、鴨川でもっともオモシロイ人だと僕は勝手に思っている。
この自給組合は、実にアメーバ的組織で、これも鴨川っぽい組織だ。一応代表や事務局はあるが、基本的には、やりたい人が、勝手に仲間を募って勝手にやってちょうだいと。
各プロジェクトは自己完結型で、それぞれのプロジェクトがリンクしてつながっているのが「地域自給組合あわのわ」で、限りなく自由な形をとっている。
「塩のわ」では太平洋へ行って海水をくんで、一日中火を炊いて塩をつくったり、「家のわ」では、地元の木を切り出して、小さな小屋をつくったり、「衣のわ」では、地元の草で糸を作るWSを企画したり、「穀物のわ」では、みんなで麦を育てたり、「音のわ」では、この生活から生まれる音楽をつくっていこうと、みんなでセッションしたり、「里山の知恵のわ」では、僕と事務局のケーイチ君が担当していて村の長老から竹ぼうきつくりを教わったり(この前やって素晴らしい竹ぼうきが出来ました。)、お茶のつくり方を教わるWSを企画している。
地域内自給、それはこれからの社会のテーマでもある。
地域で生活を自立させていくことが、地球環境を破壊せず、世界が平和になっていく基本となるからだ。
それは、マハトマ・ガンジーが昔から言って来たコトだが、今もその言葉は色あせず、いや増々もって重要になって来ている。世界中から、エネルギー、資源、食料を運び続けることが、どれだけ自然を破壊し、発展途上国と呼ばれる国々の人を犠牲にし、戦争の原因になっているか。それは今、多くの市民が気づき始めている


 子供の王国のトークは、参加しているお母さん達にステージへ来てもらい話してもらった。
子供の王国とは、毎月第2、第4土曜日、自然王国で行われている里山自主保育だ。
子供達は自然のなかでのびのびと遊び、みんなでわらべ歌をうたったり、ごはんをつくったり、森を散歩したり、四季おりおりの美しい里山で、センス オブ ワンダーをはぐくんでいる。

次のあわのわトークは、awanovaというコミュニティスペースを始めるオーガニック&ベジタリアン料理家の3人の女性に登場してもらった。
「ロカヒ」のやっちゃん、「ルンタ」のみほちゃんと、「ラブ&ライス」のまゆちゃんだ。長狭街道から、金束の交差点を入ったトコロにある小さなプレハブ小屋をみんなで改修し、月イチでオープンする小さなあわのわの様なコミュニティスペースにする予定だ。
オープンに向けて改修を手伝ってほしいと3人はステージであわの仲間に呼びかけた。

最後のあわのわトーク「虹の村で結ばれて」では、3組の新婚さんにステージへ来てもらった。ラブ&ライスのかんま君とまゆちゃん、長いドレッドヘアーのキミシーとアグリちゃん、そしてガラス作家のシャンティガラスのゲン君とフミちゃんだ。
みんな、都会から移住してきた20代から30代の若者達だ。過疎の農村に若者達が都会から逆流して来て、恋をして結婚し、子供を産み育て、夢と希望を持って土の上でシンプルライフを送るのだ。 
本当の「勝ち組」とは、僕らのほうだ。
いや、そうではない。
勝ち、負けを超えた人生がここにある。
「王様であろうと、百姓であろうと、
自分の家庭で平和を見出す物が、
一番幸福な人間である」とはゲーテの言葉だ。
物質的な満足は、もう充分だ。
僕らは精神的な満足を求めている。
この星に住む責任ある生命体として、僕らは土の上で「小さく豊かな暮らし」を楽しむのだ。
そして、高度経済成長の時代から、高度精神成長の時代へとシフトする。


Love&Rice楽団のライブで歌っているまゆちゃんの姿が印象的だった。
おなかに子を身ごもり、超ピュアな瞳で「迷うことはない」と歌う彼女の笑顔が、僕のまぶたに焼き付いている。
そう、迷うことはない。
僕たち一人ひとりが幸せになる権利がある様にこの星のすべての人も、全ての生命も幸せになる権利がある。
そして、その答えが、「今、こここ」にある…。
林良樹